「このままの自分じゃダメ」——そんな言葉が、心のどこかでいつも響いていませんか?
それは、あなたの中にひそむ“もうひとりの自分”が、あなたを守ろうとして起こしている反応かもしれません。責めているのではなく、必死に生き延びようとしているのです。
自己否定が“クセ”になってしまう本当の理由
自己否定の始まりは、とても小さな“ズレ”から始まります。
たとえば、親にほめられなかった。友達に無視された。何気ない一言で心がチクリとした。
でもその小さな傷が、時間と共に自分の中で「私はダメなんだ」という確信に変わっていきます。
気づいたら、褒められても「本気じゃないでしょ」と受け取れず、
失敗すると「ほらやっぱり」と心の中の声が責めてきます。
この声の正体が、内なる“自己拒絶者”です。
でも、この“自己拒絶者”は、本当はあなたの敵ではありません。
あなたを守るために生まれた、心の中の“護衛者”なのです。
自分で自分を拒絶してしまうメカニズム
想像してみてください。
幼いころ、大好きな人に「そんなことしたら嫌われるよ」と言われたとき、
あなたの中の小さな心はこう感じます。
「それなら、先に自分で自分を責めた方がマシだ」
「そうすれば、もう誰にも拒絶されずにすむかもしれない」
これが“自己拒絶者”の原点です。
誰かからの拒絶より、自分で拒絶しておいた方がダメージが少ないと、
心が学んでしまったのです。
そしてその声は大人になった今も、
あなたを外の世界から守るために必死に働きつづけています。
でも、それがいつしか、本当にあなたを傷つけはじめるのです。
このまま放っておいたら、どうなってしまうのか
“自己拒絶者”の声に従い続ける人生は、例えるなら
ずっと火事報知器が鳴り続けている部屋で暮らしているようなものです。
安心したいのに、どこかで常に「また怒られるかも」「嫌われるかも」と緊張していて、
心が休まることがありません。
褒められても、愛されても、何も感じられない。
次第に感情が麻痺して、「自分が何を好きか」すらわからなくなっていくのです。
・やりたいことがわからない
・人といても孤独
・何かを始めようとしても、自分を信じられず手が止まる
・恋愛がうまくいかない、人の顔色ばかりうかがってしまう
このままいけば、あなたの中の“本当の声”は、
完全にかき消されてしまうかもしれません。
“自己拒絶者”はあなたの味方だった
ここで、少し視点を変えてみましょう。
あなたの中で「ダメだ」と言い続けているその声は、
もともとは「これをやめたら、あなたがもっと傷つくかもしれないからやめて」
という、必死の防衛反応だったのです。
つまり、「失敗しないように」「恥をかかないように」「誰かに嫌われないように」
と、あなたを守ってくれていた存在なのです。
まるで、幼いあなたがつくった過去の用心棒。
でもその用心棒は、時代が変わった今もずっと、
同じ戦い方を続けてしまっているのです。
だからこそ、今必要なのは
「もう大丈夫だよ。時代は変わったよ」と伝えてあげること。
“自己拒絶者”と向き合う3つのステップ
1. 声を聞いてあげる
「なんでそんなに責めるの?」と心の中で問いかけてみてください。
その声はきっと、かつてのあなたを守ろうとしていた理由を教えてくれます。
2. 「ありがとう」と伝える
責めてくる声に対して、「もうやめて」ではなく「ありがとう」と返してみてください。
不思議なことに、それだけでふっと力が抜けることがあります。
3. 今のあなたに合った“守り方”を教えてあげる
「今は、前みたいに黙ってた方が安全じゃないよ」
「今は、意見を言ってもちゃんと聞いてくれる人もいるよ」
そう伝えていくことで、過去の自分が“今”に追いついてくるのです。
それでも、自分を責めたくなったら
完璧じゃなくても大丈夫です。
また責めそうになったら、「それでも、私はここまで生きてきた」と思い出してください。
どれだけ“自己否定”してきても、
あなたは、今日まであきらめずに生きてきました。
それだけで、本当はもう、あなたの中に強さがあるということです。
あなたは“壊すために自分を責めていた”のではなく、
“生き延びるためにそうしていた”のです。
まとめ
「自分が嫌い」という気持ちの奥には、
かつてのあなたが選び取った、生きるための方法が隠れています。
それを責めるのではなく、気づいてあげることで、
人生の地図は少しずつ、静かに書き換わっていきます。
あなたの中の“自己拒絶者”は、敵ではありません。
ようやく、その声と本当の対話ができる時期が来ただけなのです。