「人生って、ただの苦行じゃないか」
そんなふうに感じてしまうのは、あなたが弱いからではありません。
もしかしたらその苦しみは、“あなた自身が無意識に繰り返しているある物語”が原因かもしれません。
今回は、エックハルト・トールの言葉を借りながら、その正体をやさしく解き明かします。
「人生がつらい」と感じる本当の理由
「おめでとう」と言われる場面で、なぜか苦しくなる。
人生の節目が、むしろ不安や孤独を深めてしまう。
それはあなたの心の中で、「人生=重荷」という物語が始まってしまったからかもしれません。
- 自我に目覚めた瞬間から「私の人生」という物語が始まる
- 生きることが「演じること」になってしまう
- 「自分の意思で生きていない」という感覚が抜けない
この物語は、あなた自身が作ったのではなく、誰かの期待や常識が勝手に作りあげた可能性が高いのです。
でも、安心してください。あなたはその物語から降りることができます。
「私の人生」という思考が苦しみの始まりだった
エックハルト・トールは語ります。
「人は“自分の人生”という頭の中の物語に苦しめられている」と。
私たちはいつからか、「自分には人生がある」と思い込んでしまいました。
それは、こんなふうに聞こえてきませんか?
- 「私は過去にひどい目にあった」
- 「未来が怖い」
- 「自分は不幸な人生を送ってきた」
でも、本当に“人生”って、持ち物なのでしょうか?
トールは言います。
「あなたは人生を“持っている”のではない。あなたこそが“人生”そのものなのです」
持っているものは、いつか失います。
でも、あなたは失われることのない「存在」なのです。
思考の波を超えたところに、本当の自分がいる
思考は、波です。
過去、未来、不安、後悔――どれも思考が作り出したものです。
そして波が荒れているとき、私たちは自分を見失ってしまいます。
でも、波の下には海があります。
深くて、静かで、何も傷つかない「あなたの本質」が眠っています。
その本質を感じるのが、「今ここ」にいるということです。
思考を止めようとするのではなく、
思考に気づく。
思考の背後にある「静けさ」に気づく。
それが、“物語から抜け出す”という第一歩なのです。
「意味がない」と感じた瞬間から、自由が始まる
あなたは「人生に意味がない」と感じたことがありますか?
それは絶望ではなく、解放の入り口かもしれません。
なぜなら、「意味」はいつも誰かが後づけしたものだからです。
- 良い人生には意味があって
- 失敗には意味がない?
- 愛されることが意味で
- 孤独は意味がない?
そんなの、誰が決めたのでしょう?
人生に意味がないというのは、
あなたが自由に意味づけしていいということでもあるのです。
もし今、何も感じられないなら
「喜びも、感動も、意味も…もうよくわからない」
そう感じる時期は、誰にでもあります。
でも、それは鈍くなったのではなく、
これまでの“物語”が壊れ始めているサインかもしれません。
- 「~すべき」
- 「~しなければ」
- 「~でなければ価値がない」
そんな外側からの物語が、あなたの中で意味をなさなくなってきた。
それは、あなた自身の感性が目覚めてきた証でもあります。
思考をやめるのではなく、思考から降りる
エックハルト・トールは、こうも言います。
「思考はあなたではない」
「あなたは、その思考を見ている“意識”である」
つまり、思考を止める必要はありません。
ただ、思考を“信じない”という選択ができるのです。
たとえば、
- 「私は価値がない」
- 「このまま何も変わらない」
- 「誰からも必要とされていない」
そんな思考がやってきても、こうつぶやいてみてください。
「ああ、また“物語”が始まったな」
すると、あなたの内側に少しだけ「静けさ」が戻ってくるはずです。
まとめ
あなたの苦しみの正体は、
これまで「私の人生」として無意識に信じてきた“頭の中の物語”でした。
でも、あなたはその物語の登場人物ではありません。
物語を静かに眺める、深くて穏やかな“存在そのもの”なのです。
だから、物語の内容がどんなに悲しくても、
あなたの本質は決して汚れず、失われず、
ただそこにあり続けています。
静けさの中で、ほんの少しずつでいい。
あなた自身の「真の物語」が、これから静かに始まっていきます。
それは、意味のある人生ではなく、
あなた自身の“生きた実感”そのものなのです。