昨日、あなたをイラッとさせたことを3つ思い浮かべてほしい。そのうち、自分で決められたものはいくつある?
相手の機嫌。上司の評価。電車の遅れ。誰かの一言。たぶん、ほとんどゼロだ。
人は、自分では決められないことに、一日の感情の大半を使っている。
約2000年前、この仕組みを見抜いていた人たちがいる。ストア哲学だ。奴隷の身から哲学者になったエピクテトス、ローマ皇帝マルクス・アウレリウス、政治家セネカ。立場も時代も違うのに、行き着いた答えは同じだった。
気分を上げる方法をひと通り試した人ほど、最後にここへ戻ってくる。ストア哲学は気休めではなく、振り回されないための判断のしかただからだ。頭のいい人が最後にたどり着く教えは、この5つ↓
① 変えられるものと、変えられないものを分ける
エピクテトスは言う。「物事には、私たちの力が及ぶものと、及ばないものがある」。及ぶのは、自分の判断と行動だけ。相手の機嫌も評判も、最初からあなたの担当じゃない。
② 人を乱すのは、出来事ではなく、それについての考え
同じ一言で、傷つく人と聞き流す人がいる。違いは出来事ではなく、受け取り方のほう。エピクテトスは、ここに心を守る鍵があると考えた。
③ 朝のうちに、嫌な人に会うと決めておく
皇帝マルクスは、誰に見せるためでもない手帳に書いた。「今日、私はおせっかいな人、恩知らずな人、傲慢な人に会うだろう」。来るとわかっている雨には、誰も腹を立てない。
④ いちばんの仕返しは、相手と同じにならないこと
同じ手帳の一節。「最善の復讐は、相手と同じようにならないことだ」。やり返した瞬間、こちらも相手と同じ場所に降りている。
⑤ 人は、現実より想像の中で苦しむ
セネカは友人への手紙に書いた。「私たちを怖がらせるものは、押しつぶすものより多い。私たちは現実より、想像の中で苦しむことのほうが多い」。眠れない夜の不安の大半は、まだ起きていない。
わかったつもりでは、また振り回される
5つとも、読めば「そうだよね」で終わる。でも次の日、誰かの一言でまた一日が崩れる。マルクスが毎朝自分に言い聞かせたのは、わかることと、できることは別だと知っていたからだ。
本人の言葉をそのまま読むなら『自省録』(岩波文庫)。物の見方そのものを毎朝ひっくり返す練習なら『デイリーパラダイムシフト』。5分ほどの音声が毎朝届く。
ほかに読んでおきたい哲学の本は人生観が激変する名著ベスト5にまとめた。
変えられないものに使っていた力を、自分に戻すだけでいい。
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