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相手がため息をついただけで、自分が何かしたかと考えてしまう。機嫌の悪そうな人がいると、頼まれてもいないのに気をつかって、あとでぐったりする。そんな経験、ありませんか。
たとえば、こんな家。玄関のドアが閉まる音で、その日の親の機嫌がわかった。音が強い日は、テレビを小さくして、なるべく目立たないようにした。泣くと怒られるから、泣かなかった。言いたいことは、飲み込むのがいちばん安全だった。
あの頃は、それで正しかった。黙ることも、顔色を読むことも、生きのびるために覚えたことだから。
困るのは、大人になって家を出ても、その動きだけが体に残っていること。上司の不機嫌も、パートナーのため息も、子どもの頃と同じ受け取り方をしてしまう。「自分のせいだ」と。
心理学や脳の話を動画で発信していると、コメント欄にこういう言葉が届く。「もう子どもの時のように、怖い思いをしたくないから」「優しい子どもを知らぬうちに演じて生きてきたので、大人になって壊れました」。何十年たっても、あの家のルールのまま生きている人は、思っているより多い。
安心して気持ちを出せない家で育って、大人になっても生きづらさを抱えている人のことを、アダルトチルドレンと呼ぶ。あなたが弱いわけでも、性格の問題でもない。そういう家で、そういう生き方を覚えただけ。

ただ、覚えたものは、知らないままだと抜けない。なぜ顔色を読んでしまうのか。どこでそれを覚えたのか。そこが見えないと、同じことを何十年も繰り返す。
その「いまも残っている動き」を、ひとつずつ言葉にしていくのが『アダルトチルドレン改善マニュアル完全版』。生きづらさの相談を10年以上受けてきた須藤裕司さんが、自分自身もアダルトチルドレンだった経験と合わせてまとめた読み物。
なぜ、いまも顔色を読んでしまうのか
① 「相手の不機嫌=自分のせい」の正体がわかる。
機嫌の悪い人を見ると、自分が何かしたと受け取る。安心して育った人は「相手の機嫌は相手のもの」と考えて、「どうしたの?」と聞ける。その差がどこで生まれたのかを、育った家のルールまでさかのぼって解いていく。
② 胸の奥の重さに、名前がつく。
不安。罪悪感。むなしさ。孤独。自分を責める気持ち。ずっと理由のわからなかった重さを、ひとつずつ切り分けて説明してくれる。
③ 顔色を読むかわりの、人との話し方を知る。
安心して育った人が、ふだん何を考えて人と話しているのか。表面の言い方ではなく、その土台から書いてある。
慰めて終わる本ではない。販売ページにも、気分を上げる自己啓発でも、自分を癒やす慰めでもない、と書いてある。読んだら、実際に試していく作りだ。

逆に、向かない人もいる。読むだけでラクになる近道を探している人。この本は、読んで、試して、はじめて動く。それと、育った家のことに向き合うのが、今はまだつらい人。190ページ近い文章で、自分の家のことにも踏みこむ。販売ページにも「知ってから知らなかった状態にはなれません」とある。
子どもの頃に覚えた生き方は、あなたのせいじゃない。でも、それをこの先も続けるかどうかは、今のあなたが決められる。